Codex の並列エージェントで複数タスクを同時に処理する方法
Codex のバックグラウンドエージェント機能が本格稼働するようになった2026年以降、複数のエージェントを並行して動かすパターンが広がっている。コードレビューを走らせながら別の指示で新機能を実装させる、テストを流しながらドキュメントを更新させるといった構成が、ウェブ版 Codex から手軽に試せるようになっている。本記事では、並列実行の仕組みと制限、実際に使い始めるための手順を公式情報に沿って整理する。
Codex では、ひとつの会話セッション内で複数のタスクをほぼ同時に起動できる。各タスクは独立したサンドボックスの中で動くため、あるエージェントがリポジトリを書き換えていても、別のエージェントの作業環境には影響が及ばない設計になっている。Codex はタスクをクラウド上のコンテナに分離して実行するため、手元のマシンを占有せず、開発者はブラウザを閉じても処理を継続できる(出典: https://openai.com/codex )。
並列で動かせるタスク数には上限があり、プランによって異なる。Plus・Pro 向けには「Codex への最大アクセス」という上限設定があり、同時実行できるエージェント数はプランの枠内に収まる。クレジット(コンピュート時間)は各エージェントが独立して消費するため、同時に多くのエージェントを走らせると消費ペースがその分だけ速くなる点は事前に把握しておきたい。タスクごとに独立した環境が作られるコスト分だけオーバーヘッドもある(出典: https://openai.com/codex )。
並列実行が実際に効果を発揮するのは、作業が互いに依存していない独立したタスクを複数抱えているときだ。たとえばバグ修正と新機能実装を同時進行させる、複数のドキュメントページを並行して更新する、といった場面では順番に処理するより総所要時間を短縮できる。逆に、片方の結果を受け取ってから次の作業を決めるような依存関係のあるタスクは、並列より直列で進める方が安全で管理しやすい。
目次 (16)
- Codex で並列エージェントが使えるようになった背景
- 並列エージェントを起動する手順
- Step 1: Codex のウェブ版にアクセスしてリポジトリを接続する
- Step 2: 最初のタスクを起動する
- Step 3: 別のタスクを同時に起動する
- 並列実行が効果を発揮するユースケース
- 独立した複数のバグ修正を同時進行させる
- テストとドキュメントの更新を並行させる
- 複数言語・複数環境での動作確認
- 並列実行の制限とクレジット消費の考え方
- 並列実行中の進捗確認と追加指示の送り方
- 並列実行でよくあるミスと対処法
- 同じファイルに書き込むタスクを並列化してしまう
- 指示が曖昧なまま複数タスクを起動する
- クレジット残量を確認せずに多くのタスクを起動する
- まとめ
Codex で並列エージェントが使えるようになった背景
Codex の並列実行機能は、2025年末から2026年にかけてのバックグラウンドタスク機能の整備と合わせて使いやすくなっている。もともと Codex はひとつの会話を直列で処理する設計だったが、長時間かかるコーディング作業をクラウド上に委ねる「バックグラウンドエージェント」として動かす仕組みが加わったことで、複数タスクを同時に走らせるユースケースが現実的になった(出典: https://developers.openai.com/codex )。
バックグラウンドエージェントとは、ユーザーがブラウザを離れていても処理を継続するタスクのことだ。Codex のウェブインターフェースでは、進行中のタスクがサイドバーに一覧表示され、それぞれの状態をいつでも確認できる。並列で動くエージェントは互いの作業に干渉しない独立したコンテナで動作するため、あるエージェントが誤った変更を加えても別のエージェントの環境には影響が出ない安全性がある。
2026年6月時点のバージョンでは、タスクの作成画面から新しいタスクを立ち上げると、既存タスクの完了を待たずに別の作業を開始できる。Codex の管理画面では実行中のタスクと待機中のタスクがまとめて表示され、それぞれへの介入(追加指示や停止)も個別に行える設計になっている(出典: https://developers.openai.com/codex/changelog )。
この変化の背景には、AI エージェントを「1対1の会話」から「チームで並列に動く存在」として使う考え方の広がりがある。ひとりの開発者が複数のエージェントに別々の仕事を振り、それぞれの成果物を受け取ってレビューするというパターンは、個人の作業効率を大きく引き上げる可能性を持っている。
並列エージェントを起動する手順
Step 1: Codex のウェブ版にアクセスしてリポジトリを接続する
まず Codex のウェブインターフェース(https://openai.com/codex )に ChatGPT アカウントでサインインする。初回は GitHub アカウントとの連携設定が必要で、作業対象のリポジトリへのアクセス許可を付与する。一度接続したリポジトリはサイドバーから選択できるようになり、同じリポジトリに対して複数のタスクを開始できる状態になる。
リポジトリのルートに AGENTS.md ファイルを置いておくと、Codex がタスクを開始するときにそのファイルを読み込み、プロジェクトの構成やテストの実行コマンドを把握する。並列でエージェントを動かす場合も、各エージェントは起動時に同じ AGENTS.md を参照するため、複数のエージェントが同じ前提で作業を進めやすくなる(出典: https://developers.openai.com/codex/guides/agents-md )。
Step 2: 最初のタスクを起動する
チャット入力欄に最初の作業内容を書いて送信する。Codex はサンドボックス環境を立ち上げ、リポジトリのコードを読み込んだうえで作業を開始する。タスクが動き始めると、画面左のサイドバーに進行中のタスクが表示される。この時点でタスクが完了するのを待つ必要はない。
作業内容はできるだけ具体的に伝えた方がエージェントの精度が上がる。「バグを直して」という曖昧な指示よりも、「src/auth.ts の 42 行目でユーザー ID が null のときに例外が発生するので修正して」のように対象と条件を絞り込む方が、並列運用でも管理しやすい成果物が返ってくる。
Step 3: 別のタスクを同時に起動する
最初のタスクが動いている状態のまま、新しいタスクを作成する。ウェブインターフェースでは「新しいタスク」ボタン(またはプラスアイコン)から別の作業指示を入力できる。新しいタスクは最初のタスクとは独立したサンドボックスで動き始める。
並列で起動したタスクは、サイドバーでそれぞれの進捗状況を確認できる。完了したタスクにはレビュー待ちの状態が示され、変更内容を確認して承認(プルリクエストとしてマージ)するかどうかを開発者が判断する流れになる。Codex が自動でリポジトリに変更をプッシュすることはなく、最終的な確認はつねに人間が行う設計になっている(出典: https://developers.openai.com/codex )。
並列実行が効果を発揮するユースケース
独立した複数のバグ修正を同時進行させる
複数の Issue が積み上がっていて、それぞれが互いに関係していない場合、並列で修正を走らせると全体の処理時間を短縮できる。たとえば「ログイン画面の表示崩れを直す」「API のタイムアウト処理を追加する」「旧バージョンの依存パッケージを更新する」の3つは互いの変更が干渉しないため、並列で進めやすいケースになる。各エージェントが別々のブランチを作成して変更を行い、それぞれのプルリクエストをまとめてレビューする流れが自然に組める。
テストとドキュメントの更新を並行させる
新機能を実装したあと、テストコードの追加とドキュメントの更新を同時に走らせるパターンも実用的だ。テストとドキュメントは同じコードベースを参照しながらも互いに書き換えるファイルが重なりにくいため、並列に進めても衝突が起きにくい。
複数言語・複数環境での動作確認
同じコードを Node.js と Python のどちらでも動くように書き直す、あるいはデスクトップとモバイル向けに別々の UI を同時に実装するといった作業は、エージェントごとに明確な担当範囲を与えやすい。作業範囲がファイル単位・ディレクトリ単位で分けられるほど、並列実行の効果が出やすくなる。
並列実行の制限とクレジット消費の考え方
Codex の並列実行には同時起動できるタスク数の上限がある。OpenAI のプランごとに「Codex への最大アクセス」という枠が設定されており、その枠を超えてタスクを追加しようとすると、実行待ちに入るか起動が制限される(出典: https://openai.com/codex )。
クレジット(コンピュート時間)の消費については、並列で動くエージェントはそれぞれ独立してクレジットを消費する点を理解しておく必要がある。たとえば1時間かかるタスクを直列で2つこなす場合と、並列で2つ同時に動かす場合とでは、総クレジット消費量はほぼ変わらない。並列化のメリットは「クレジット節約」ではなく「所要時間の短縮」にある。月次のクレジット上限を把握したうえで、並列実行を使う頻度や規模を決めるのが現実的な運用になる。
また、各タスクの起動時にサンドボックス環境をセットアップするコストが発生する。リポジトリのサイズや依存関係の量によっては、このセットアップ時間が数十秒から数分になる場合がある。非常に短時間で完了する小さなタスクを大量に並列化しようとすると、セットアップのオーバーヘッドが相対的に目立つことがあるため、タスクの粒度を適切に設定することも大切になる。
並列実行中の進捗確認と追加指示の送り方
タスクが並列で動いている間も、それぞれのタスクに追加の指示を送ることができる。ウェブインターフェースのサイドバーから対象のタスクを選択すると、そのタスクの会話画面に移動でき、チャット欄から補足説明や修正依頼を追加できる。追加指示はそのタスクにのみ届き、他の並列タスクには影響しない。
エージェントが作業の途中で判断に迷って止まっているケースもある。Codex はよくわからない場合に作業を停止して確認を求めることがあり、サイドバーには「入力待ち」のような状態が表示される。複数タスクを並列で動かしているときは、定期的にサイドバーを確認し、止まっているタスクがあれば早めに追加指示を送ることが、全体の完了を早めるポイントになる(出典: https://developers.openai.com/codex )。
タスクが完了したら、Codex は変更の差分と簡単な説明を表示する。変更内容を確認したうえで、プルリクエストを作成するかどうかを判断する。並列で複数のタスクが完了した場合、それぞれのプルリクエストをまとめて確認できるため、レビューの流れも整理しやすい。
並列実行でよくあるミスと対処法
同じファイルに書き込むタスクを並列化してしまう
並列で動くエージェントがそれぞれ同じファイルを編集しようとすると、片方の変更がもう片方に上書きされたり、マージ時にコンフリクトが生じたりする。これを防ぐには、タスクを設計する段階で担当ファイル・担当ディレクトリを明確に分けるか、共有ファイルへの書き込みが発生しないよう指示の範囲を絞ることが重要だ。作業指示の中で「src/components/ 以下のみ修正する」「README.md は変更しない」といった制約を明示しておくと衝突を減らせる。
指示が曖昧なまま複数タスクを起動する
並列実行の管理は、タスク数が増えるほど混乱しやすくなる。タスクごとに何をしているのかが把握しにくくなると、完了した変更を正しくレビューする負担が増える。各タスクの指示はできるだけ短く、目的が1行でわかる内容にまとめておくと、サイドバーでの管理が楽になる。長い作業を1つのタスクに詰め込むより、目的ごとに小さく分けて並列化する方が後から見直しやすい。
クレジット残量を確認せずに多くのタスクを起動する
Codex のクレジット残量は設定画面で確認できる(出典: https://openai.com/codex )。並列で多くのエージェントを走らせるとクレジット消費が加速するため、月末近くや試験的な運用の段階では残量を確認してから起動するようにしたい。特にタスクが長時間かかる場合、途中でクレジットが尽きてタスクが中断することがある。
まとめ
Codex の並列エージェントは、互いに干渉しない独立したタスクを複数同時に進めるときに効果を発揮する機能だ。並列で動くからといってクレジット消費が減るわけではなく、総作業時間の短縮が主なメリットになる。タスクを設計するときに担当ファイルと目的を明確に分け、定期的にサイドバーで進捗を確認するというシンプルな運用ルールを守るだけで、並列実行の恩恵を受けながら混乱を最小限に抑えられる。試し始めは2〜3タスクの並列から始めて、クレジット消費のペースや完了品質を確かめながら規模を広げるのが安全なアプローチだ(出典: https://developers.openai.com/codex )。